Apple M1発表 その技術の内容とは

先日のAppleの発表会を見た人なら誰しも驚いたはずです。なんせあのAppleがノートパソコンにまで自社シリコンを採用してきたのですから。

今回はその発表会での内容を詳しくまとめていきます。

製造と設計

設計はソフトバンクHD傘下の英Armです。ArmはこれまでAppleのAシリーズチップや、QualcommやMediaTekに使用されているCortexシリーズを設計している大手企業です。今回はベースとなるCPUをArmが設計し、それをもとにAppleがパッケージを詰め込んだSoCの生産に漕ぎ着けた形です。

生産は台湾TSMCが担っており、A14 Bionicチップに続く世界二番目の5nmプロセスルールでの製品化です。TSMCがついに5nmプロセスでの量産を開始したことから遅れをとっているSamsung、歩留まりを続けているIntelにはダメージがあるでしょう。

SoCの内容

CPU

今回のM1はbig.LITTLE方式を採用し、4つのパワーコアと4つの低電力コアを組み合わせたオクタコアCPUとなっています。

CPU性能は従来比3.5倍の性能、2.6TFLOPSの演算を行うことができ、FLOPS/Wの値では世界最高を謳っており、Apple史上最大である160億個のトランジスタを実装しています。

4つのパワーコアは、省電力CPUとしては世界最高の性能を誇るとしています。

低電力コアは、従来の10%の電力で、現行世代のデュアルコアMacBook Airと同等のパフォーマンスを発揮できるが、作業に使う電力ははるかに低く抑えられるということです。

GPU

GPUには8コアの処理ユニットを搭載しています。他のSoCと比べ8コアというといささか力不足感がありますが、全くそんなことはないようです。

物理ユニットは8個だけであるものの合計約2.5万スレッドを立ち上げることができ、映像出力に大切な大量の並列処理を行うことができます。カラーグレーディングに特化した映像編集ソフト、「Davinci Resolve」であれば8Kの映像で1コマも落とさずプレビューすることができるそうです。前性能比6倍を実現しています。

また、SoC内にDRAMキャッシュをパッケージするユニファイドメモリアーキテクチャを採用し、CPUとGPUの共用メモリプールになっています。これにより複数のメモリプールにファイルをコピーする必要がなく、演算の効率化がされています。

Apple Neural Engine

Apple M1は、毎秒11兆の演算処理が可能な16コア「Apple Neural Engine」を搭載しており、CPU、GPU、Neural Engineは、それぞれ異なるタイプの機械学習作業ができるよう設計されている上、MLパフォーマンスコントローラーがMLのタスクを適切な場所に配分するため、効率的な処理を行えるということです。

さらに専用機械学習アクセレーターが内包されておりNPUほどの処理能力を必要としない演算では低電力でこのユニットを通して行われます。前性能比15倍を実現しています。