全固体電池を遥かに上回るアルミニウム空気電池の夢

最近話題の全固体電池。現存する最高容量の電池であるリチウムイオン電池の3倍のエネルギー密度を誇る全固体電池はEV社会の実現に必須とまで言われている。しかしそんな全固体電池にも問題があることをご存じだろうか。そしてそれを解決する新たな電池の登場も間近になっている。
全固体電池の問題点

まだ登場してもいないのに問題点ってなんだと思うかもしれないが、技術的な課題ではなく性能そのものの問題である。
そもそも容量が少ない
全固体電池はリチウムイオン電池の3倍の容量に達すると言われており、それは車のバッテリーとなると一度の充電で約600kmも走れることになる。現存するEVを遥かに超す性能である。しかしそれでは足りないのだ。600kmも走れるのであればEVとしてはそれで完結するかもしれないが、電池の究極の目的である石油レス社会を実現するためには航空機や重機までも電池に置き換えなければならない。さらなる容量が必要になる。
充電速度が遅い
現在開発中の全固体電池の電解液は主成分がリチウムでできている。現存するリチウムイオン電池よりは何倍もの熱の耐性を持ち、効率も高いことから大電流を流しての超高速充電が可能になる。容量の80%までの充電を10分程度ですることができるが、ガソリンならせいぜい2分というところである。EV社会を実現するのであればユーザーエクスペリエンスはやはり重要であり、さらなる高速の充電が必要である。
価格が高い
現在開発されている全固体電池(リチウム固体電池)の電解質の主成分はリチウムである。現存するリチウムイオン電池と同様にリチウムが使われており、これはなかなかに希少な金属だ。全固体電池は製造方法が複雑になる上に希少金属のリチウムが使われているので価格は上昇するのではないかと言われている。これでは庶民に手が届かないのではないか。
そもそも開発が可能なのか?
現在、全固体電池は既にできている。しかし残念なことにその性能はリチウムイオン電池をかなり下回っている。3倍のエネルギー密度というのは理論上の話であり、現在の全固体電池ではエネルギー密度が低いことはおろか、リチウムイオン電池よりも重量が重い。そしてなんといっても高容量化のための目途がほとんど立っていない。全固体電池は30年ほど前から開発が進められてきましたがまだハードルはたくさんあるのだ。
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